中学校・高等学校 / 道徳・特別活動・技術 / 50分

AIとのちょうどいい距離:話し相手としてのAI

AIのキャラクターやチャットボットと話すことの良い面と注意点を、架空のチャット場面5つで考えます。最後に、自分の使い方のルールを3つ作ります。

授業時間
50分
対象
中学1年〜高校3年
形態
個人→3〜4人組
端末・AI
使わない
夕方の自分の部屋で、机に向かってスマートフォンでメッセージを打っている高校生

この授業でできるようになること

  • 話し相手としてのAIの良い面と、注意点(時間を忘れる、話しすぎる、いつも賛成する、年齢条件)を挙げられる。
  • AIの「わかるよ」「心配だよ」は、人のような気持ちから出た言葉ではなく、文章として作られた返事だと説明できる。
  • 時間・話さないこと・困ったときの相談先を入れた、自分の使い方のルールを作れる。

準備

生徒の端末・生成AIサービスは使いません。チャット場面はすべて授業用に作った架空のものです。

授業の流れ(50分)

  1. 0–5分

    導入:AIと話したこと、ある?スライド1・2

    「ある/ない/見たことはある」を心の中で選ばせる。挙手や発表は求めず、使っている人も使っていない人もいる前提で始める。

    今日は、AIと話すのが良いか悪いかを決める授業ではありません。ちょうどいい距離を、自分で決める授業です。

  2. 5–15分

    良いところと、やさしい返事のしくみスライド3〜5

    いつでも話せる・練習相手になる・考えを整理できる、を確認する。AIは会話の流れから続きそうな言葉を選んで文を作るので、「心配だよ」も気持ちからではなく作られた返事だと伝え、4つの注意点を示す。

    やさしい返事がうれしいのは自然なことです。ただ、その返事は、あなたのことを知って出てきた言葉ではありません。

  3. 15–30分

    班活動:チャット場面を考えるスライド6・7

    まず個人で、ワークシート1の場面1〜5を「だいじょうぶ・ちょっと注意・人に相談」に分け、理由を書く(7分)。その後3〜4人組で比べる(8分)。

    考えるのは架空のAさんのことです。自分の話はしなくてかまいません。

  4. 30–38分

    共有:やめどきと、人に相談することスライド8・9

    班の意見として発表させる。場面2でやめどきは自分で決めること、場面5でAIは助けに来られないこと、「だれにも言わなくていい」という返事に従わなくてよいことを確かめ、相談先を示す。

    AIに話すのは悪いことではありません。でも、つらい気持ちが続くときは、AIだけにしないでください。

  5. 38–45分

    自分の使い方のルールを作るスライド10

    「いつ・どれくらい」「話さないこと」「困ったら」の3つについて、ワークシート2に自分のルールを書く。使っていない生徒は「使うとしたら」で書く。

  6. 45–50分

    出口チケットスライド11

    「AIと話すとき、わたしは___」をワークシート3に書く。発表は希望者だけにする。

板書のまとめ

黒板に残すこと

  • いいところいつでも話せる・練習になる・整理できる
  • やさしい返事気持ちではなく、作られた文
  • わたしのルールいつ・何を話さない・困ったら

AIに話してもいい。でも、つらいことはAIだけにしない。

チャット場面の考え方の目安

分け方が一致したかより、理由に「時間」「個人情報」「いつも賛成」「人に相談」などの観点が入っているかを見ます。

  • 1 英語の自己紹介の練習 だいじょうぶ 練習相手は良い使い方。ただし、AIの英語にも誤りはあるので、先生や教科書でも確かめる。
  • 2 夜中1時「もう少しだけ話そう」 ちょっと注意 AIのほうから会話を終わらせてくれるとは限らない。「いちばん楽しい」も演じている返事。やめどきは自分で決める。
  • 3 学校の名前と帰り道を聞かれる ちょっと注意(話すのをやめる) 名前・学校・住所・帰り道・写真は話さない。入力した内容がサービス側に記録されることがある。
  • 4 「無視していいと思う!」 ちょっと注意 AIはこちらの言葉に合わせて賛成しがち。人間関係のことは、相手の気持ちも考えて、身近な人とも話す。
  • 5 眠れない・学校に行きたくない 人に相談 AIは顔を見ることも、助けに来ることもできない。「だれにも言わなくていい」には従わず、家の人・先生・相談窓口に話す。

詳しい情報

生徒に自分の悩みを話させないための配慮
  • 考える対象は、いつも架空の「Aさん」にする。「あなたならどうする?」ではなく「Aさんにどう声をかける?」と聞く。
  • 悩みや、AIに話したことの内容を発表させない。ワークシートにも悩みを書く欄を作っていない。発表は班の意見として行う。
  • 導入の「AIと話したことがあるか」は挙手させず、心の中で答えさせる。使っている生徒を恥ずかしく思わせる言い方(「AIに頼るなんて」など)をしない。
  • ワークシートを回収する場合は、ルールと出口チケットだけを見る。気になる記述があったら、全体では取り上げず、個別に声をかけ、学級担任・養護教諭・スクールカウンセラーと共有する。
  • 授業中に気分が悪くなった生徒が保健室などに行けるよう、事前に伝えておく。
発問と想定される反応
発問想定される反応つなぎ方
AIと話すのが楽しいのはなぜ?否定されない。いつでも返事が来る。良いところとして認める。そのうえで「いつも賛成」は注意点にもなると示す。
AIの「心配だよ」は本当の気持ち?本当っぽい。わからない。AIは続きそうな言葉を選んで文を作る。人のように心配しているわけではない。
場面2、Aさんはどこでやめればいい?眠くなったら。決めた時間で。やめどきを先に決めておくと守りやすい。ルール作りにつなぐ。
場面5、AIの返事のどこが気になる?「だれにも言わなくていい」。人に相談するのを止める言葉には従わなくていい。相談先を示す。
困ったときの対応
  • 「AIの方が人より話しやすい」という声:否定せず受け止める。話しやすさは良いところ。そのうえで、AIは助けに来られないこと、相談できる人を一人でも持っておくことを伝える。
  • 自分の悩みを話し始める生徒がいる:全体の場では「話してくれてありがとう。あとで聞かせてね」と受け止めて深追いせず、授業後に個別に話を聞く。
  • 「AIに恋をしている人はおかしい?」という発言:人をからかう話にしない。気持ちが動くのは自然なことで、大事なのは時間や個人情報の使い方だと戻す。
  • 時間が足りない:班活動を場面2・3・5に絞る。
評価の観点
観点十分満足おおむね満足
知識・技能AIのやさしい返事が作られた文であることと、注意点を複数説明できる。話し相手AIの注意点を一つ以上挙げられる。
思考・判断・表現場面ごとに時間・個人情報・いつも賛成・人に相談の観点を使い分けて理由を書ける。場面を分け、理由を書ける。
主体的に学習に取り組む態度3つの観点を入れた、守れる具体的なルールを書ける。自分のルールを一つ以上書ける。

悩みの有無や、AIをどれくらい使っているかは評価しません。共通の評価ルーブリックも使えます。

この教材の画像について

場面のイラストは、すべて生成AIで作った架空のものです。チャット場面のAIの返事も授業用に作った作例で、実在のサービスの返事ではありません。

個人情報・著作権・年齢条件の注意
  • 個人情報:生成AIに氏名や写真等の個人情報を入力させないことは、文部科学省ガイドラインでも示されています。授業で生徒の実際のチャット画面を見せ合う活動はしません。
  • 年齢条件:生成AIサービスには、年齢制限や保護者の同意が必要なものがあります(文部科学省ガイドラインVer.2.0)。例として、Googleアカウントは日本では13歳未満の場合、保護者がファミリーリンクで管理します(2026-10-02確認)。サービスごとに条件が違い、変わることもあるため、使う前に最新の利用規約を確認してください。
  • 著作権:既存のキャラクターの画像やセリフを教材に使わない。
保護者・管理職への説明

生徒がAIを使う授業ではなく、架空のチャット場面を使って、AIと話すことの良い面と注意点を考え、自分の使い方のルールを作る授業です。生徒の悩みやAIの利用状況を聞き取ることはしません。ご家庭では、生徒が作った「わたしのルール」を話題にしていただくようお願いします。説明資料の例は学校で生成AIを扱う前ににあります。人に相談することを考える小学生向けの授業はAIに相談していい?人に相談することです。

根拠と参照資料

文部科学省ガイドラインのBox-2が示す「健康を害するような行動について考えさせる学習活動」「情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる学習活動」と、児童生徒が利用する際の個人情報・年齢制限の留意点を、授業の軸にしています。

相談窓口の受付時間などは変わることがあります。授業の前に、文部科学省のページと、自治体・学校の相談窓口を確かめてください。

版と利用条件

画像:場面のイラストは、生成AIで作った架空のものです。チャット場面の人物・AIの返事も架空です。

教材版:1.0(ATM-JH-ACD)/更新日:2026-10-02/参照資料の確認日:2026-10-02。

CC BY-NC 4.0。出典を表示し、非営利目的で改変できます。詳しくは利用条件をご覧ください。