帯時間 / 小5〜中3 / 15分×5回

15分でつなぐAIリテラシー5回セット

朝学習や帯時間の15分を5回使って、身のまわりのAI、誤り、個人情報、画像、利用の記録を一つずつ学びます。端末なしで実施できます。

授業時間
15分×5回
対象
小5〜中3
準備
投影・印刷
更新日
2026-10-01

この教材で目指すこと

朝学習、帯時間、学級活動の残り時間などの15分を5回つなぎ、生成AIと付き合うための基本の習慣を少しずつ身につけます。1回ごとに完結しているので、間が空いても実施できます。

  • 身のまわりのAIに気づき、生成AIが「新しく文章や画像を作る」AIであることを説明できる。
  • AIの回答や出回っている画像を、そのまま信じたり広めたりせず、確かめてから扱おうとする。
  • 入力しない情報と、AIを使ったときに書き残すことを、自分の言葉で言える。
授業者へ:この教材は児童生徒が生成AIサービスへ直接アクセスしない前提で作っています。端末で実際に使う場合は、学校・設置者の方針、サービスの年齢条件と利用規約、保護者の同意の要否、個人情報の扱いを事前に確認してください。

対象・時間・準備

対象小学校5年〜中学校3年(学年による調整は「学年に合わせた調整」を参照)
時間15分×5回(各回:導入3分・活動8分・共有と振り返り4分)
端末・AIサービス不要。投影できない場合はスライドを印刷して黒板に掲示できます。
準備物投影スライド(全16枚)、ワークシート(5回分を1枚にまとめたA4両面。初回に配り、回収・保管する)、筆記具、第2回は地図帳
評価記録に残す評価は行わず、ワークシートの記述と発言を見取ります。単元として扱う場合はAIリテラシー評価ルーブリックを併用できます。

5回の全体像

回テーマ主な活動持ち帰る一言
第1回身のまわりのAIを探そう8つの場面を「AIが使われていそう/そうでなさそう/分からない」に分ける生成AIは、文章や画像を新しく作るAI
第2回自信満々の間違いを見つけよう架空のAI回答を小さな主張に分け、確かめ方を書く話し方の自然さと、正しさは別
第3回その情報、入れていい?6つの場面を「入れない/入れてよい可能性/先生に相談」に分ける迷ったら入れない、先生に聞く
第4回その画像、本物?回ってきた架空の投稿を読み、広める前にすることを考える止まる・確かめる・広めない・相談する
第5回AIを使ったら書いておこうAI利用メモの書き方を練習し、5回の約束を一文にする使ったら、何に・いつ・どう直したかを書く

第1回 身のまわりのAIを探そう

  1. 導入:今朝からAIに出会った?

    「今朝起きてから、AIに出会った人?」と挙手で聞き、出てきた例を板書する。正解を決めず、次の活動で確かめると伝える。

  2. 活動:8つの場面を分ける

    スライドの8場面(動画のおすすめ、翻訳、写真の自動整理、迷惑メールの振り分け、質問に文章で答えるチャット、地図の到着予想、声で操作するスピーカー、電卓)を、ペアで「AIが使われていそう/そうでなさそう/分からない」に分け、理由を一言書く。

  3. 共有と振り返り

    「電卓」と「文章で答えるチャット」の違いを取り上げ、AIはたくさんのデータから傾向を見つけて予測や判断をする仕組みであり、その中でも文章や画像を新しく作るものを生成AIと呼ぶ、と一言でまとめる。ワークシート1に記入。

教師の問いかけ:「決まった手順で計算するだけのものと、データから予測するものは何が違うだろう?」

困ったとき:「全部AI」という意見が多い場合は、電卓は決まった計算手順で動き、同じ入力なら毎回同じ答えになることを示します。個々の製品の仕組みは公開情報だけでは分からないことも多いため、「分からない」を選んだ理由もよい答えとして扱います。

第2回 自信満々の間違いを見つけよう

  1. 導入:詳しい答えは正しい?

    「丁寧で長い答えと、短い答え。どちらが正しそう?」と問い、話し方の印象で判断しがちなことに気づかせる。

  2. 活動:小さな主張に分ける

    架空のAI回答「富士山は日本で一番高い山で、高さは3,776mです。静岡県と長野県にまたがっています。」を示し、ワークシート2で「一番高い」「3,776m」「静岡県と長野県」の3つの主張に分け、それぞれ何で確かめるか(地図帳、教科書、国や自治体の資料など)を書く。

  3. 共有と振り返り

    地図帳で確かめると、富士山は静岡県と山梨県にまたがっていることを確認する。一部が正しくても全体が正しいとは限らないこと、確かめられなかったことは「確認できない」と書けばよいことを伝える。

教師の問いかけ:「どの部分なら、すぐに確かめられそう? どの部分は、何を見れば確かめられる?」

困ったとき:地図帳がない場合は、教科書の地図や掲示物で代用します。誤りを見つけたことより、「確かめ方を書けたこと」を価値づけます。

第3回 その情報、入れていい?

  1. 導入:AIに話しかけた内容はどこへ行く?

    入力した内容は、サービスの運営会社に送られ、保存されたり、サービスの改善に使われたりする場合があることを短く伝える。

  2. 活動:6つの場面を分ける

    スライドの6場面(自分の住所を書いて手紙を直してもらう/自分で考えた架空のキャラクターの設定/友達の写真を送って似顔絵にしてもらう/名前入りでクラスのけんかを相談する/教科書の物語のあらすじを確かめる/自分の体調の悩みをAIだけに相談する)を、班で「入れない/入れてよい可能性/先生に相談」に分ける。

  3. 共有と振り返り

    正解数ではなく理由を共有する。「迷ったら入れない、先生に聞く」を合言葉にしてワークシート3に記入。

教師の問いかけ:「その情報を、知らない人が読んだら困る人はいる?」

困ったとき:体調や悩みの場面で自分のことを話し出す児童生徒がいたら、全体の場では深掘りせず、後で個別に声をかけます。時間に余裕がある日は、12枚版の個人情報カード教材に差し替えられます。

第4回 その画像、本物?

  1. 導入:写真に見えるものは本当にあったこと?

    今は本物そっくりの画像をAIで作ったり加工したりできることを伝える。

  2. 活動:広める前にすること

    架空の投稿(文字のみで提示)「【拡散希望】今朝、駅前の時計台が大雪で埋まった!(画像つき)」を読み、ワークシート4で「だれが最初に出した?」「いつの画像?」「ほかの確かな情報源でも伝えている?」の3点を考え、自分ならどうするかを書く。

  3. 共有と振り返り

    見た目だけで本物か見分けるのは大人でも難しいこと、だからこそ「止まる・確かめる・広めない・相談する」が大切であることを確認する。最後に、人の写真を勝手に加工したり共有したりすることは相手を深く傷つけ、犯罪になる場合もあることを短く伝える。

教師の問いかけ:「本物かどうか分からないとき、広めないことで困る人はいる? 広めたことで困る人は?」

困ったとき:実在の事件や特定の人物の画像を例に使わないでください。性的な画像加工の話題は、学年や学級の状況に応じて扱いを判断し、必要に応じて「生命(いのち)の安全教育」や情報モラル教育の時間と連携します。授業後に「自分の写真が使われているかもしれない」などの相談があった場合は、個別に聞き取り、管理職へ報告します(生成AIに関わる校内トラブルの初動対応フローを参照)。

第5回 AIを使ったら書いておこう

  1. 導入:AIを使ったら、ずるい?

    「宿題でAIを使ったら、ずるい?」と問い、2〜3人から意見を聞く。使ってよいかどうかは課題ごとに先生が示すこと、使ってよいときにも書き残すことがあると伝える。

  2. 活動:AI利用メモを書く練習

    架空の人物Aさんが、自由研究のまとめの構成を考えるためにAIを使った場面を読み、ワークシート5の「AI利用メモ」(使ったサービス名、使った日、AIに頼んだこと、自分で確かめたこと・直したこと)を例として埋める。

  3. 共有と5回のまとめ

    5回で学んだことから一つ選び、「AIと付き合うとき、私は____する」を一文で書く。

教師の問いかけ:「AIの答えのどこを、自分で直した? それはなぜ?」

困ったとき:「家ではもう使っている」という発言は否定せず、学校の課題ではルールが課題ごとに違うことを伝えます。年齢条件のあるサービスが多いことにも触れ、家庭での利用は保護者と相談するよう促します。

学年に合わせた調整

  • 小学校5・6年:第1回の8場面は4場面に減らしてもかまいません。第4回は「広めない・おうちの人や先生に相談する」に重点を置きます。
  • 中学生:第2回で、確かめる資料の発行主体と日付まで書かせます。第5回では、レポートでのAI利用の書き方を宿題・レポートAI利用評価表とつなげます。

個人情報・著作権・年齢条件・事実確認の注意

  • 個人情報:例示には実在の児童生徒、教職員、地域の人の名前や写真を使いません。ワークシートを掲示・撮影する場合は名前を隠します。
  • 著作権:スライドの架空の回答・投稿は本教材のために作成したものです。授業で新聞記事や他者の画像を追加して投影する場合は、授業の過程での利用の範囲かを確認してください。
  • 年齢条件:多くの生成AIサービスは利用規約で年齢条件や保護者の同意を定めています。授業で実際に使う場合は、最新の利用規約を確認してください。
  • 事実確認:第2回の地理の事実は地図帳で確認できる内容です。授業前に、使用する地図帳・教科書の記載を確認してください。

保護者・管理職への説明

5回とも端末やAIサービスを使わない活動です。学級通信などで扱う場合は「AIの答えを確かめる」「個人情報を入れない」「画像を広める前に止まる」の3点を伝えると、家庭での声かけにつながります。保護者向けの説明には保護者説明資料を改変して使えます。

根拠と参照資料

文部科学省ガイドラインが示す「人間中心の利活用」と、児童生徒にプロンプトへ氏名や写真等の個人情報を入力させない、出力の正確性・事実関係を確認させる、生成AIの出力を引用するときはサービス名・プロンプト・日付を明示する、という考え方を5回の流れに落とし込んでいます。

利用条件と版

CC BY-NC 4.0。出典を表示し、非営利目的で改変できます。詳細は利用条件をご覧ください。教材版:1.0/更新日:2026-10-01/参照資料の確認日:2026-10-01。

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