第5期科学技術基本計画のレビューから見る日本の現状2

32

これは、第5期科学技術基本計画のレビューから見る日本の現状1の続きです。

さて、今回は「②女性研究者の新規採用割合」について、見ていきましょう。

まずは、これを目標とする意図としてはダイバーシティ(多様性)の観点から非常に重要であるからです。
研究職というのは男のイメージがする人もいるかもしれませんが、そもそもそれは「男が働き、女は家庭を守る」という固定概念から来ているだけで、
こういった多様性の無さが日本からイノベーションが生まれない土壌となっています。
また、誰でも働きやすい環境を整えることが雇用問題の解決することにもなるのです。

具体的な取り組み内容は以下の通りです。

つまりは男女格差をなくそう的なことです。
(もう少し具体的な取り組みを知りたいですが…)

さて、このデータに関してはすぐに目標値と最新値が載っていますので、早速結果から行きましょう。


下線がある太字の数値は、最新値が目標値に到達していることを示しているそうなので見てみると、最新値の「研究開発法人」に関しては「5項目の内3項目」が目標値を超えています。
「大学等」に関しては1項目のみです。

まぁそれなりには成功してるかな?って考えるのは甘いです!!!
これ、全然成功してません!
むしろ前回の「①40歳未満の大学本務員・教員の割合」よりも失敗してます。

まず重要なのは2015年の参考値の方です。
この時点では「研究開発法人」に関しては「5項目の内4項目」が目標値を超えています。
でも2018年の最新値では「3項目」になってますよね?
つまり減ってるんです。しかもゴッソリ。

さらに他の項目も見てみると「研究開発法人」は「農学」だけ4.8%増えていますが「それ以外は全部減っています」
「大学等」は「理学」と「農学」が増えていますので、実はこっちの方が成果を出しています。

合計の%も出して見ましょう。
2015年は、
「大学等:109.4%」
「研究開発法人:157.2%」

2018年は、
「大学等:113.9%」※ +4.5%
「研究開発法人:131.2%」 ※ -26%

合計すると一目瞭然ですが大学等はわずかながらも好転傾向がありますが、研究開発法人はひどい状況です。
(保険が異常に落ちているので、これが特殊な要因だということで除外したとしても-2.3%です)

パッと見は「目標値に達してるから良かった」と思われかねない表です。
いや、それが狙いかもしれません。

うーむ、「①40歳未満の大学本務員・教員の割合」に続いて、「②女性研究者の新規採用割合」もまったく成果が上がってない状況というのがわかりました。
次回は「③論文数」に関して見ていきましょう。