「プログラミングスクールの講師を2年間続けて限界が来て辞めた話」を読んだ話

884

少し話題になっていたので、「プログラミングスクールの講師を2年間続けて限界が来て辞めた話」という記事を読みました。

記事を内容を要約すると、

・大人向けのプログラミングスクールの講師を、副業として2年間していたプログラマーの話
・当初は「ECサイトが作りたい」みたいな明確な目標がある生徒が多かった。
・コロナを期に「誰でもカンタンに出来る!」や「高時給、高待遇」みたいな宣伝文句に誘われてきた、プログラミングを「稼ぐ手段」としか考えていない生徒が増えた。
・筆者曰く「プログラミングをしようとするには思えない人たち」ばかりが集まるようになった。
・その人達に教えるのが辛くなり、講師をやめた。

という話です。

筆者が言う「プログラミングをしようとするには思えない人たち」の具体例については、以下の抜粋の通りです。

昨日までパソコンのパの字も知らなかった人がプログラミングをする為に初めてパソコンを買い、初めて使ってみましたというレベルの方が激増することになりました。
すると、どうでしょうか
「ローマ字ってなんですか?」
「アプリってどうやって入れるんですか?」
「Zoomの使い方がわかりません。」
「インストールってなんですか?」
「携帯でプログラミングできないんですか?」
「持ってるパソコンが200x年のやつなんですけど大丈夫ですか?」
など、とてもじゃないが今からプログラミングをしようとするには思えない人たちが集まってきました。

とのことです。

この記事の筆者の方的には、

ただ、プログラミングに至っては地道な努力があってこそ稼げる物であり、何週間か勉強したからといってすぐにできる仕事ではないと感じています。

私が実際に教えれるのは、週に1回1時間のみ
ほかの時間は自分で学習をしてもらわないことには何も進められません。

エンジニアってわからないことに対してワクワクしながら調べて、問題を解決するのが一番楽しく私は続けています。
ですが、彼らにとっては稼ぐ手段の一つとしか見ていないことでしょう。

また、学習を進めてても調べ方が分からないのでエラーが出るたびに「答えを教えてください!」「なんかできません」「答えを教えてくれません」とクレームです。

という事を言われています。


同じようにプログラミングを教える身としては、非常に共感は多いですが、同時に「この人が教育者としての意識が低い」と思いました。
パソコンに慣れている人からしたら、「インストールを知らないだと…!?」と思うかも知れませんが、別に今まで必要としてこなかったのでしょうし、良い機会だから教えてあげれば良いだけですよね。

めちゃくちゃ教えがいがある生徒さんだと思います。

なんか「おれは高度なスキルがあるんだから、そんなレベルの低い質問は答えたくない」というような、選民思想を感じてしまいます。

パソコンやプログラミングは、車や自転車のように「運転に慣れるまではめちゃくちゃ大変だったけど、慣れてしまえば簡単」という性質のものです。

でも、みんな、最初に自転車に乗るときには何度も転んだように、今簡単にできることでも、出来ないときはあったはずです。

かくいう私もプログラミングスクールを始めたての頃は、この方と似たようなストレスを感じていました。

ただ、7年以上プログラミングスクールを運営した経験から言うと、「生徒を目の前にしたときにはエンジニア視点ではなく、教育者視点にならないといけない」と思います。
良いエンジニアではなく、良い教育者にならないといけないというわけです。

自分がプログラミングを学んだ経験だけで、生徒を見てしまうと「そんなことじゃプログラマーにはなれんぞ!もっと悩んで考えろ!」みたいな気持ちになりますが、実際、私達の時代は教えてくれる人やスクールなんてなかったため、仕方なく独りで四苦八苦して学んだだけです。

わかる人に聞けば1分で解決する問題でも、何日もかかって解決したことなんて数え切れないほどあります。
決して効率的ではない学び方だと思います。
気合や根性論の世界です。

もちろん、まったく自分で考えないまま、答えを聞くのは良いとは思いませんし、特に子どもの場合は「考える事が目的」なので、答えを言うのはご法度だと思います。
ただ、「一緒に考える」というスタンスで「考え方」をサポートすることは出来るはずです。

それが教育者としての視点だと思いますし、そうすることで「考える」という楽しさや、癖をつけれると思います。

寿司職人なども、昔は10年修行してやっと人前で握れる、という世界でしたが、今は専門学校で1年程度学べば、すぐに店に立てるようです。
このように専門家の世界も、敷居は下がっていくべきです。


ただ、この記事の筆者様の真意としては、近年急増している

「誰でもできる!」
「好きな時間に働ける!」
「高単価、高時給!」
「業界内〇〇%リモートワーク」
「この先伸びる仕事No.1!!」

みたいな広告をガンガン出して、「ただスクールに通うだけで、プログラマーになれる」という錯覚をおこさせ、入会してきた人を食い物にする企業に対しての不満が発端な気がします。
この方自身は、とても「教えたい」という気持ちが強い方で、だからこそ「そんな高額を払って来てるのに、なんで本気で学ぼうとしてくれないんだ!本当の馬鹿なのか!?」というマインドになってしまっている気がします。

私も常日頃思いますが、教える側が心の底から「教えたい」「成長させてあげたい」と思えば思うほど、学ぶ側との温度差にストレスを感じてしまいます。
熱意が空回りして怖い印象を与えてしまい、結果的により教える事が困難になります。

おそらく学校の先生と生徒でもそうですし、警察官と市民の関係もそうです。
(例えば、熱心な警察官が市民を守ろうと、取締りを厳しくすればするほど、その市民は警察官を疎ましく思いますよね)
親と子ども、も同じかもしれません。


以上、色々書きましたが、この記事は教える側にも、学ぶ側にも考えさせられる事が多いので、ぜひ読んでみてください。
↓リンクです。
プログラミングスクールの講師を2年間続けて限界が来て辞めた話