「君たちにたくさんの苦悩あれ」NVIDIAを率いるカリスマ経営者であり、「皮ジャン」と呼ばれ愛される男ジェンスン・フアンの言葉とは?

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NVIDIA(エヌビディア)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く半導体メーカーです。
GPU(グラボ)と呼ばれる画像処理装置の開発で世界一の会社です。
その技術はゲームだけではなく、データセンター、自動運転など、幅広い分野で活用されており、特にAIの分野において非常に重要な会社です。

このNVIDIAを作り、現在もCEO(社長)として有名なジェンスン・フアンという人物が、とても魅力的な人なので、紹介したいと思います。

ジェンスン・フアンは、まだNVIDIAという会社が有名ではないころから、IT業界では「皮ジャン」と呼ばれて親しまれていました。
なぜ、皮ジャンか?というと、商品を宣伝するような非常に大事な場面で、彼はいつも皮ジャン姿だったのです。

そのおかげで、NVIDIAが大ブームとなり、ジェンスン・フアンが一般的にも知られるようになってからは、彼の着ていた皮ジャンが売切れたり、奇跡的に皮ジャンを来ていない時があると、それだけでニュースになったりもしました。

さぞ皮ジャン愛がすごいんだろうな、と思われていましたが、インタビューでは「いや、毎日妻と娘が私に皮ジャンを着せてくれるだけだよ」と答えています。
彼の服装はいつも奥さんと娘さんが決めているそうです。
彼はインタビューでも、よく家族を話しています。
今では、カリスマ経営者として、世界でも10何位の大金持ちですが、つねに庶民的なところが魅力でもあります。
(ちなみ調査によると皮ジャンは6種類あるそうです)


実は左肩に「NVIDIA」のロゴのタトゥーが入っているのですが、これも会社の会議で「株価が100ドルになったら、みんなでタトゥーを入れよう」というのが決定してしまい、実際に100ドルを超えたので、入れただけとのことです。
ちなみにタトゥーの感想は「痛い」とのことです。


そんな彼の出身は台湾ですが、親の仕事の関係か、台湾とタイで幼少期を過ごしたそうです。

1973年の東南アジアは社会不安で荒れており、彼の両親はアメリカに移住することを決意します。
少し前に、親戚もアメリカに移住していたため、まず、ジェンスン・ファンとその兄だけ先に、そのアメリカの親戚の元に預けるのですが、親戚も移住したてで、英語がほとんど出来ず、何を間違ったのかファンを、普通の学校には通えない不良たちが入れられる「更生施設」に入れてしまいます。
(なぜこんなことになったかは、よくわかりません)
しかも住み込みの寮生活です。
毎日トイレ掃除をやらされたそうです。

ジェンスン自身「初日に普通の学校かと思って登校したら、学校中がタバコの吸い殻だらけで、何かおかしいと思った。生徒はみんなポケットにナイフを持っていて、生徒同士で問題がおこると、ケンカなんて生易しいものじゃない。」と語っています。
また「同じ部屋に住むことになった生徒は、全身がタトゥーとナイフの傷跡だらけだった。彼は文章を読めなかったので私が教えた。」と話もしています。

でも彼は「結果的にいうなら、私はそこで仲間たちと過ごした時間が大好きでした」と語っています。
(実際に2019年に、その学校に対して3億円以上の寄付をしています)
彼はそんな環境の中でも、勉強や運動に努力し、その後、卓球の全国大会でジュニアチャンピオンにもなっています。

決して恵まれた状況で育ってきたわけではないジェンスンですが、その後、オレゴン州立大学→スタンフォード大学と、勉強も頑張り続け、AMDという大手の半導体会社に入社し、その後、別会社に転職の後、友人2人と共同でNVIDIAを立ち上げます。

NVIDIAの立ち上げを決めたのは3人でデニーズというファミリーレストランで食事をしていた時だったそうです。


そのデニーズは、学生時代にジェンスンがバイトしていたそうで、ここでのアルバイトも彼にとって、とてもプラスになった経験だったと語っています。

彼は、やる気もあって、とても優秀な人物だけど、唯一の弱点として非常にシャイだったそうです。
自分でも「信じられないほどシャイだった。人と話すことは怖かった」
と言っています。

でもこのデニーズでのアルバイト経験で、人と話すことになれて、怖くなくなったそうです。
今の彼は、CEO(社長)でありながらも「会社の顔」として、インタビューやプレゼンテーションの多くをこなしています。
(私もよく生徒に「学生の内にコンビニとか接客のアルバイトしとき」と良く言います。なぜなら私もジェンスンとまったく同じ経験があるからです)


NVIDIA設立後は、何度も倒産の危機を乗り越えながら、初めて作ったGPUをセガの「バーチャファイター」というゲームで採用されたり、ソニーや任天堂など日本との関係など色々話はあるのですが、今回はNVIDIA設立までの話にしたいと思います。


最後に、ジェンスン・ファンがスタンフォード大学でしたスピーチ内容を紹介します。
とてもジェンスン・ファンという人間を表しているスピーチで、とても大好きなスピーチです。

「僕の(自分に対する)期待値はかなり低い。でも、君たちスタンフォードの卒業生の多くは、とても高い期待値を持っているだろう。それは当然だ。
スタンフォードは世界でトップクラスの学校で、そんな学校のバカ高い学費を払えているんだし、同じような恵まれた仲間たちに囲まれている。そりゃ自分に対する期待値も高くなる。
でも、期待値が高すぎる人達は、同時にとても打たれ弱い。
そして、成功するためには打たれ強さが重要なんだ。
どうやって教えれば良いか僕にはわからないけど、”苦労する機会”に恵まれてほしいと思う。
僕は幸運なことに、その”成功する環境(苦労や挫折ができる環境)”を両親からあたえてもらった。
今でも仕事における苦悩や挫折は喜ぶべき事だって、心から思っている。
”これはかなりしんどい状況だ”って時は、喜びをもって受け止めるんだ、
素晴らしい成果を出したければ、良い社風が必要で、それは頭の良いスタッフから生まれるわけじゃない。
苦労したスタッフから生まれるんだ。
だから僕が君たちスタンフォードの卒業生に願ってあげられるのは、”君たちにたくさんの苦悩あれ”だ」

スピーチの動画はこちら
https://youtu.be/KgAYS6A7nXc?si=aj7HdOM5gjUKu64m