最近、中学受験をするという生徒が増えてきています。
しかも「子ども自身が受験したい」というケースが多いです。
(もちろん、親や大人の誘導は大きいでしょうけど)
世間でも、9年間連続で中学受験をする生徒は増えているようです。
https://toyokeizai.net/articles/-/672998?page=2
今回は、一般的に言われる「中学受験に向いている子」についてまとめたいと思います。
・勉強が好きな子
まぁそりゃそうですよね。
・明確な目標がある子
何かの研究したい、となった時に特定の大学などでしか研究できない分野も結構あるので、そういう明確な目的がある子は向いてますよね。
・身体が丈夫な子
これは意外に思う人もいると思いますが、受験は体力勝負、と言われます。
ある程度体力がないと、身体を壊したり、効率が落ちたりしてしまうようです。
福沢諭吉が常々「先ず獣身を成して後に人心を養え」と言っていましたもんね。
・精神年齢の高い子
これは意外にも一番影響が大きいとも言われています。
確かに、仮に目標ややる気が十分でも、精神年齢が低いと結局ダラダラしたり、またはテストの結果で一喜一憂して効率が下がったりします。
でも、この「精神年齢」って具体的になんなの?って思いますよね。
もともと、この「精神年齢」という言葉は「今の何歳ぐらいの知能なのか?」を表す言葉だったのですが、今ではかなり色々な意味合いで使われています。
(本来は、知能年齢と言うべき言葉)
ただ、今回はもっと別の意味での「精神年齢」の意味です。
(知能が高い方が、受験に向いてるって当たり前すぎますからね…)
ようは、ちゃんと目的までコツコツがんばれるか?ジッと座って、授業が聞けるか?
みたいなことです。
また、これには「論理的思考力」も身についているか?という意味がある、と書いている塾もあります。
https://x.gd/htrfm要約すると、
「将来〇〇の仕事に就きたい」
「そのために〇〇の大学に行きたい」
「そのために〇〇の高校に行きたい」
「そのために〇〇の中学に行きたい」
「そのためにテストの点数を上げたい」
「そのために解ける問題を増やしたい」
「そのために〇〇を覚えたい」
「そのために何度も反復しないといけない」
「よし、今日もがんばろう」
みたいな目的達成のための手順を論理的に考える事が出来るか?
という事が重要との事です。
(これが精神年齢だと書いています)
論理的思考が=で精神年齢か?というと疑問ではありますが、論理的思考力とは「目的達成のための思考力」だと思うので、そういう意味で中学受験に論理的思考が重要だというのは納得です。
論理的思考力と言えば「プログラミングを学ぶべき」とされる一番大きい理由です。
プログラミング=論理的思考力と言っても良いぐらい密接な関係性です。
そういえば、私は普段から「学校の勉強なんて大体で良いよ」みたいな事を良く言ってる悪い大人なのですが、生徒はそれを無視して、学校の勉強も頑張り、偏差値の高い学校に行く子が多いです。
これは自分でも不思議に思っていましたが、確かに関連がありそうです。
プログラミングによって、論理的思考力が身につくため、悪い大人の言葉にも流されずに、自ら目標をかなえるための行動を取るのでしょう。
また一般的に言われる「精神年齢」というものは結局「性格」と同じ意味合いの場合も多いです。
つまり「受験向きの性格は何か?」ってことです。
性格を分析する一つの理論として「ビッグファイブ理論」という有名な理論があります。
このビッグファイブ理論では、性格は以下の5つの因子に分けられる、とされております。
①外向性 (Extraversion):
特徴: 社交的、元気、行動的、冒険好き
例: 外向的な人は他の人との交流を楽しみ、新しい経験や挑戦を好む傾向があります。
②誠実性 (Conscientiousness):
特徴: 誠実で責任感があり、計画的で目標を達成しようとする傾向
例: 誠実な人は約束を守り、仕事やプロジェクトに対して真剣に取り組むことができます。
③調和性 (Agreeableness):
特徴: 協力的で思いやりがあり、他人との関係を大切にする特性
例: 調和性のある人は他人の意見を尊重し、対立を避けるよりも協力的な解決策を好む傾向があります。
④開放性 (Openness to Experience):
特徴: 創造性があり、新しいアイデアや経験に対してオープンである特性
例: 開放的な人は新しいアートやアイデアに興味を持ち、新しい文化や考え方を受け入れることができます。
⑤神経質的傾向 (Neuroticism):
特徴: 感情の不安定性や精神的な不安に影響を受けやすい特性
例: 神経質な人はストレスや不安に対して敏感であり、小さなことでも心配する傾向があります。
この5つの因子の内、受験に向いていると思われるのは
①外向性②誠実性 かなと思います。
外向性は教師や講師との良い関係性が築きやすいことで、壁にぶつかっても、周りの協力を得て突破しやすいです。
もっと単純に「質問がスムーズにできるか?」という点だけでも、学習効率には圧倒的に差がでます。
また、外向性の高い人はストレスをため込みにくいので、その点においても向いてます。
誠実性に関しては「コツコツ頑張れるか?」なので、当然必要な因子ですね。
「これをやるだけで簡単に合格できる!」みたいな魔法はないので、コツコツやるのは必須です。
この点に置いてもプログラミングと受験が親和性が高いのだろうな、と思います。
プログラミングもイメージ以上にコツコツの世界なので。
逆に「受験に向いていない因子」は、⑤神経質的傾向 がある子だと思います。
この因子は不安、ストレスに非常に弱いので、一見「受験頑張る!」と前向きに言っているように見えて、その理由は
「良い大学に入らないと、人生終わりだ」
「公立校に行くと、ヤンキーがたくさんいて地獄の学校生活になる」
「点数が悪いと親や友達に嫌われる」
みたいに不安や恐怖からの行動なので、ほとんどの場合良い結果になりません。
(ここで言う"結果"とは合格できるか?とは関係ありません)
さらにこのような傾向が強い子に対して、親や大人が「そんな成績じゃ将来仕事ないよ!」みたいに言って、勉強させるのはめちゃくちゃ危険です。
もちろん勉強すれば成績は上がりますし、一見、コツコツ真面目にがんばるタイプに見えるので、何も問題ないように思いますが、過度なストレスが継続する事になるため、最終的に心や身体を壊すことになるリスクが上がります。
例えば、仮に必死に勉強して、無理だと思われた難関校に合格しても、そこはゴールではありません。
難関校に行く子はみんなレベルが高い子ばかりなので、そんな周りについていくために、またさらにストレスを掛けて勉強をしないといけません。
少なくても中学、高校、大学まですっと続くのです。
どんなに心が強くても、いつか潰れます。
さらに社会に出たらストレスから解放されるか?というと、そうではないのは大人ならみんな知っていると思います。
ほとんどの場合、不安や心配事は増えるので、さらなるストレスがかかります。
このように「不安や恐怖を行動の原動力にする」というのは、非常に危険なのです。
特に神経質的傾向が強い子は、親が大人が何も言っていなくても、勝手に将来に怯え、不安のせいで勉強し始めます。
「人生なんかどうにでもなるんやで」ということを教えてあげるぐらいが、ちょうどいいと思います。
あと「競争心を煽る」というのも結構危険です。
③調和性 の弱い子が陥りやすい行動ですが、競争する相手が「過去の自分自身」であれば良いのですが「他人」である場合は「がんばって誰々に勝てるようになろう」と思うよりも、無意識に「勝てる相手を探そう」になりがちです。
つまり、自分より成績が悪い子を見下したり、バカにする行動が増えていきます。
勉強のストレスをいじめなどで発散しようとし始めます。
競争心じゃなく、向上心を育てないといけませんね。
という感じで、最終的なまとめですが、中学受験に向いている子は、
「外交的」
「コツコツ頑張れる」
「将来の目標がある」
「不安に強い(失敗を恐れない)」
「プログラミングを習う(宣伝)」
という事になりますね。
「うちの子はダメだわぁ」と思う人もいるかも知れませんが、性格はある程度かえられるものです。
(遺伝要因は50%ほどと言われます)
特に外向性に関しては、練習で補える部分が大きいので、まずはコミュニケーション能力の向上を目指すのが良いかと思います。
(話は変わりますが、コミュニケーション能力は社会に出てからは学歴以上に重要な能力になりますので、性格問わず、必ずコミュニケーション能力の向上は目指してほしいと思います)
また、最後に元も子もないことを言うと受験勉強は、生まれつきの才能が非常に大きいです。
テストの成績を上げること、と知能とは本来=ではありませんので、がんばってもテストの成績が上がらない場合は、無理はせず、別のこと学んだり、興味が沸くものを頑張った方が良いと思います。
前述した通り、無理に偏差値をあげても、ほとんどの場合良い結果にはなりません。
アメリカのプリンストン大学の有名な研究でもあるのですが、同程度の知能指数の学生の内「合格して偏差値が高い学校にいけたグループ」と「残念ながら不合格で偏差値の低い学校に行ったグループ」を追跡調査してみた結果、両グループの年収に差は見られなかったそうです。
つまりあくまで「勉強して知能指数を上げる」ことが大事なのであって、誰かが決めた「合格ライン」の上か下か、というのは重要ではないという事です。
ずっと中学受験に批判的な事を書いてきましたが、実は伝えたいのはこの部分で「勉強するのは間違いなく良い」けど「合格を目的とした勉強は危険」という事です。
あくまでも目的は「やりたい事」である必要があります。
合格に目的にすると受かっても落ちても、そこで終わりになってしまいます。
親が子ども達に望む最終目標は「幸せになってほしい」
これだけだと思います。
「難関校に合格する」
のは手段の一つかも知れませんが、目的化してはいけません。
「心を壊さず、健やかに成長する」
それが絶対条件です。
近年、未成年の自殺は増える一方です。
一方で、中学受験や、小学受験など低年齢からの受験は増加しています。
「これが原因だ!」とは言いませんが何かしらの因果関係はあるかも知れません。
一度「学歴」に過度な重みづけしてしまうと、その子は一生学歴を気にしながら生きることになります。
世の中学歴よりも、もっと重要な事もあるということは、本来、小学生にしっかり教えた上での受験勉強だと思いますし、世の中の塾も「低学年での受験の危険性」を伝えた上での受験指導であるべきです。
もちろん、ちゃんと伝えている塾もあるでしょうが、話を聞く限り競争心や不安を煽ってでも点数を上げようとしているように思えます。
それもあって、最近キノコードでも試験的に受験を目指している子や、塾に行っててもテストの成績が伸びない子などの勉強も教えています。
(算数数学だけですが)
算数みたいに文字だけではわからない部分も、実際にゲームのようにプログラミング的に動かすことで理解しやすいのではないか、と思います。
今日も灘中を目指したい、という小学3年生に中学受験の大変さを伝えた上で、灘中の過去問を一緒に解いてみました。
もちろん小3なのでほとんどが習っていないことばかりですが、ざっと見てみると掛け算だけで解ける問題もあったので、以下の問題を一緒にやってみました。
一応解説しておくと、三角形にならない条件として「同一線上にある点」である必要があります。
この図形は三角形が2つある、というヒントが書いてあるので、線の数は6本です。
それぞれの線上には4つの点があります。
そのうちの3つを選ぶので、組み合わせのパターンは4つです。
(数式だと ₄C₃ になりますが、普通に数えるだけで十分です)
つまり、1本の線で4パターン、そして線は6本ある、なので6×4で答えが求められます。
上の解説をその生徒にした所、まさか自分でも解ける6×4という計算で答えが出るとは思わなかったようで、かなり驚いていました。
その子は「日本最難関と言われる灘中を目指したい」というだけにシンプルな理由で、灘中志望だったので「塾に通って、もっと難しい計算を学ばなくちゃ」と思い込んでいたようです。
難関校の算数や数学は「何を問われているか?」「答えを導くための情報はどれか?」「どのような考え方が出来るか?」といった、読解力と論理的思考力が問われる問題が多いです。
その点でも、非常にプログラミング的な思考とマッチします。
その子も「なんか!プログラミングみたいや!」と面白がってくれていました。
勉強する事を「がんばろう!」じゃなく「楽しもう!」という気持ちになってくれたら嬉しいです。