プログラミング教育というと、パソコンやタブレットを使うイメージがあります。

ロボット教材を床に置いて、前に進む、右に曲がる、ピコピコ動く。

あれは楽しいです。

子どもたちの目も光ります。

ただ、ロボット教材は数をそろえるとそれなりにお金がかかります。
しかも1度作ったロボットは壊したくないものです。つまり新しいことを学ぼうとするとまたロボット代がかかります。

ロボットじゃなくゲームつくりなら、まだマシですが、それでもパソコンはほしいです。
(タブレットでもできますが、キーボードには早めに慣れたほうが良いのでオススメしてません)

デジタル機器ありと、デジタル機器なしを比べた研究

2026年2月に、5歳児を対象にした「プラグド」と「アンプラグド」の比較研究が公開されました。

プラグドとは、ロボットやデジタル機器を使う活動のことです。

アンプラグドとは、紙、カード、体の動きなどを使って、デジタル機器なしで考える活動のことです。

研究では、Bee-botという床を動くロボットを使ったグループと、ロボットの動きを子ども自身がまねるグループを比べています。

結果として、どちらのグループでもコンピュテーショナル・シンキングと空間認識に改善が見られ、全体的な伸びに統計的な差は見られなかったそうです。

つまり、ロボットがなくても、活動をきちんと設計すれば、考える力は育つ可能性があるということです。

これはなかなか良い知らせです。

プログラミング教育の入口に「まず高いロボットを買いましょう」と書いてあると、そこで多くの人がそっとページを閉じますからね。

ロボットありの活動とロボットなしの活動の長所を比較した図
ロボットありにも、なしにも、それぞれの良さがあります。

大事なのは、順番を考えて直すこと

アンプラグド活動でよく使われるのが、矢印カードです。

前に進む、右を向く、左を向く。

これらを並べて、スタートからゴールまでの道順を作ります。

これは、見た目はただのカード遊びです。

でも中身は立派なプログラムです。

命令を順番に並べる。

実行してみる。

間違えたら原因を探す。

1枚カードを増やす、減らす、向きを変える。

この流れは、ScratchでもPythonでも同じです。

つまり、パソコンの前に座る前から、プログラミングの考え方は練習できます。

矢印カードを並べてスタートからゴールまでの道順を作る図
矢印カードを並べるだけでも、順序、実行、デバッグを経験できます。

ただし、ロボットにも良さがある

研究では、ロボットを使ったグループの方が、子どもたちが集中しやすく、自分で間違いに気づきやすい様子も報告されています。

ロボットは、命令が間違っていれば、その通りに間違えて動きます。

そこが良いところです。

人間の大人はつい気を利かせてしまいます。

「たぶん右って言いたかったんだよね」と補正してしまう。

でもロボットはなんの迷いもなく、平然と壁に向かって進み続けます。

ある意味、とても正直な先生です。

一方で、アンプラグド活動は先生の見守りが重要になります。

子ども自身がロボット役をする場合、動き方が少しずれたり、途中で楽しくなって別の方向に行ったりします。

それはそれでかわいいのですが、授業としては先生の確認が必要です。

キノコード的にはどう考えるか?

キノコードでは、パソコンや教材は大切にしつつも、「道具がないと学べない」とは考えない方が良いと思っています。

プログラミングの本質は、画面の中だけにあるわけではありません。

順番を考える。

条件を考える。

間違いを見つける。

もっと良い方法に直す。

これらは、紙でも、体でも、日常の会話でも練習できます。

たとえば「朝の準備をプログラムにしてみよう」でも良いです。

起きる、顔を洗う、服を着る、朝ごはんを食べる。

でも「靴を履いてから靴下を履く」と書いたら、そこでデバッグです。

足元でバグが発生しています。

まとめ

ロボット教材は楽しく、学習効果も期待できます。

でも、ロボットがないからといって、プログラミング的な考え方を始められないわけではありません。

大事なのは、子どもが命令の順番を考え、実行し、間違いに気づき、直す経験をすることです。

パソコンの電源を入れる前から、プログラミング学習は始められます。

むしろ最初は、紙と体で始める方が、子どもにとっては自然なこともあります。

参考にした研究

Plugged or Unplugged? A Comparative Study of Computational Thinking Development in Early Childhood