子どもが問題をまちがえたとき、大人はつい「もう一回やってみよう」と言いたくなります。

ただ、子どもの側からすると、もう一回はなかなか重いです。

大人でいうと、企画書を却下されたけど「ほら、もう一度出してみて」っと言われてるようなもんです。いや、どこ直すねん。

2025年に発表された教育心理学の研究では、小学生が算数ゲームの中でフィードバックを受けたあと、続けるかやめるかが調べられました。

扱われたのは、等式の問題です。たとえば「3 + 4 = 5 + ?」のような問題ですね。

バツは悪者ではない

この研究で面白いのは、「まちがいそのもの」だけでなく「子どもの算数への不安」や、「自分は算数ができる」という自己イメージとの関係を見ているところです。

結果からいうと、否定的なフィードバックが多い子ほど、ゲームを早くやめる傾向がありました。

特に算数への不安が高い子では、その影響が出やすかったようです。

ここで大事なのは、「だからバツをつけてはいけない」という話ではありません。

プログラミングでも算数でも、間違いは学習の材料です。

エラー文が出ないプログラミング環境なんて、逆に怖いです。暗闇でレゴを踏むようなものです。

結果を知り、正しい考え方を見て、小さく直して、もう一回試すフィードバックの流れ
続けやすいフィードバックは、結果だけでなく次に直す場所を見せます。

「正解か不正解か」だけだと、道が見えない

子どもがやる気を失うのは、失敗したからだけではありません。

でも、何を直せばいいか分からないまま、失敗だけが積み上がるとしんどくなります。

これはプログラミング学習でもよくあります。画面にエラーが出た。動かない。先生に聞くと「よく見て」と言われる。もちろん見る力は大事ですが、最初から全部見える子はいません。

だからフィードバックは、点数発表会で終わらせないほうがいいです。

「ここまでは合っている」「次はこの1行だけ見よう」「変数名が少し違うかも」というふうに、直す範囲を小さくします。

直し方が見える失敗はやる気を保ちやすく、ただのバツが続く失敗はやる気を下げやすいという図
失敗の量より、「直せそう」と思えるかが大事です。

キノコード的にはどう考えるか?

キノコードでは、子どもがエラーを出したとき、それをできるだけ「失敗」ではなく「手がかり」として扱いたいです。

もちろん、毎回全部を説明しすぎると、今度は自分で考える時間がなくなります。

なので理想は、答えを渡すことではなく、次に見る場所を一緒に絞ることです。

「全部ちがう」ではなく「この部分だけ怪しい」。

この一言で、子どもの頭の中の霧が少し晴れます。

霧が晴れたら、もう一問、先に進める子は多いです。

まとめ

まちがいは、学習に必要です。

ただし、まちがいを突きつけられるとほとんどの人は疲れます。

大事なのは、間違いをなくすことではなく、次の一手に変えることです。

そんためには算数でもプログラミングでも、「どこを見ればいいか」を導いてあげるのが適切な指導なのかもしれません。

参考

Merrick & Fyfe, Children’s motivation in response to feedback and its association with math anxiety and math self-concept

Contemporary Educational Psychology 論文情報