「ちゃんと読んだのに、テストになると出てこない」

これはかなりよくあります。

読んでいるときは分かった気がするのに、いざ自分の頭から出そうとすると、急に何も出てこない。

学習心理学では、覚えたいことをもう一度読むだけでなく、自分で思い出す練習をする方法がよく研究されています。

例えば英単語を覚える時に、何度も反復して英単語を読むのではなく、一旦何も見ずに紙に書こうとしてみる、ということです。

これを検索練習、英語ではretrieval practiceと言います。

思い出す練習は、少ししんどい

2025年のFrontiers in Psychologyの研究では、実際の小学校の授業に近い形で、読み直しと検索練習が比べられました。

歴史の教材を使い、穴埋めのような形で思い出す練習を入れたところ、読み直しより良い成績につながる場面がありました。

この話の面白いところは、思い出す練習は気持ちがよくないことです。

読み直しは楽です。

文章を目で追うと、「うんうん、知ってる」と感じます。

でもその感覚は、実力そのものとは限りません。

一方で、思い出す練習は止まります。

「えーっと、なんやったっけ」となります。

少しイヤです。

でもその止まった場所こそ、まだ弱い場所です。

読んで覚えるだけの学習と思い出す練習の違いを比較した図
楽に進む学習と、記憶に残りやすい学習は同じとは限りません。

プログラミングでも「思い出す」は効く

プログラミング学習でも、同じことが起きます。

先生のコードを見ながらなら書ける。

動画を見ながらなら動く。

でも何も見ずに書こうとすると、最初の1行で止まる。

これは才能がないというより、思い出す練習が足りないだけかもしれません。

たとえば、コードを写す前に「このプログラムは何を順番にするのか」を口で言ってみる。

変数名を隠して、何が入るか予想する。

エラーを見る前に、原因を1つだけ予想する。

これだけで、学習はかなり変わります。

答えを見る前の数十秒が、記憶の筋トレになります。

筋トレと聞くと急にしんどそうですが、脳内スクワットくらいの軽さで大丈夫です。

読み、閉じて思い出し、答え合わせをして直す学習ループ
短く思い出して、すぐ答え合わせする。この小さなループが効きます。

予想してから見る

小学生を対象にした別の研究では、予想を作ることと検索練習が、子どもの能動的な学習方法として比較されています。

どちらも、ただ受け取るだけではなく、自分の頭から一度何かを出す活動です。

キノコード的にも「見る前に予想する」を大事にしています。

ゲーム、ロボットなどでうまくいかない時や、確認問題で不正解になる時に、生徒にヒントを与える前に必ず「どこがおかしいか予想してみよう」と言います。

予想が当たらなくても構いません。

むしろ外れたときに、「自分はどこを勘違いしていたか」が見えます。

プログラミングでは、実行する前に結果を予想する。

エラー文を見る前に怪しい場所を言う。

AIに聞く前に、自分の仮説を一つ考える。

これだけで、学び方が受け身から能動に変わります。

まとめ

覚えるには、読むことも大事です。

でも、本当に使える知識にするには、短く思い出す練習を入れる事が大事だと思います。

それのためにはまず「忘れてもいい」と考えるようにいつも伝えます。

ほとんどの人が「忘れた」ということにストレスを感じやすく、そのせいで学習を諦めたり、新しいことに挑戦することのブレーキになっているように思います。

忘れることは何も問題はなく、忘れたなら再度学べば良いだけの話です。

学校のテストに慣れると暗記が目的になってしまい、忘れることが悪く思われがちです。

どんどん忘れて、どんどん思い出す。

この反復が1番学習効果が高いと思います。

参考

Retrieval practice enhances learning in real primary school settings, whether distributed or not

Comparing Generating Predictions With Retrieval Practice as Learning Strategies for Primary School Children